私には恋人がいます。恋人というからには独身かと思われるでしょうが、私は既婚者です。
夫にも恋人がいるので、不倫や浮気をしているという罪悪感はありません。
この形は最近では、婚外恋愛ともいわれています。
私たち夫婦のことを私の妹に話すと、「羨ましい」と言われてしまいました。
羨ましいですか?
夫も私も婚外恋愛ができるようになった理由を話す前に、まずは私たち夫婦のことを少しお話をしてみたいと思います。
夫との出会い
夫と知り合ったきっかけは私が時々、ピアノの出張演奏に行くクラブでした。お客の会話に妨げにならないような音量でショパンを弾く私の横に夫が寄ってきました。
「トウナイトを歌いたいんだけど?」
「トウナイト? ウエストサイド物語の?」
「そう」
これが私たちの出会いでした。
歌? 上手だったですよ。喋る声が良い人はかならずしも歌声もいいとは限らないのですが、夫は喋る声も話す声もすてきでした。
ただ、同時に移り気な人だと直感的に感じました。
それから、夫の猛烈なプッシュで私たちは結婚いたしました。
夫とのセレブな生活
夫は45歳、私は50歳で姉さん女房です。夫婦になって、15年近くになります。
夫の職業は医師で5年前、勤務していた病院を退職し、近所のビルの一室でクリニックを開業しました。私は自宅でピアノ教室を開いています。
残念ながら子供は授かりませんでしたが、できないのであれば、その分、自分たちの生活をリッチに、またパワフルやっていこうと夫が言い、私もそれに同意しました。
二人で海外にもよく行きましたし、大きなキャンピングカーを購入してアウトドアも満喫しました。
私自身も時計やメガネの収集が趣味でヨーロッパなどに行ったときなどそこでしか手に入らない物品を購入したりして楽しんでいます。
私たちの生活費は夫の収入でまかなっていましたので、ピアノ教室の収入の全てをそれらの趣味に注ぎ込むことができました。
ただ、50歳を過ぎる頃になると、友人たちに孫ができ始め、何となくそれを羨ましく感じるようになってきたこの頃です。
以上が私と夫の表向きの生活です。友人や知り合いから「私もそんなセレブの生活をやってみたい」とよく言われます。
しかし、どんな家庭にも一つや二つ問題を抱えているものです。私たちもそうでした。
まあ、私たちが抱えている問題は決して珍しくはないもので、離婚原因の第一位とも言われている「夫の不倫」でした。
夫は私の親、親族からも信頼され、良い人ということになっていた
夫はサービス精神の固まりのような人でした。私だけでなく、私の両親、兄弟親族全てに気が回り、配慮が行き届いて傍からみれば、申し分のない人間のように見えました。
夫がクリニックを開業したとき、私の親族たちは今まで通院していた病院をやめ、夫のいる病院に通い始めました。
ここまでなら「夫は信頼される良い人」で終わるのですが、外の女性に対しても色々、気が回る人間でした。
当初は医師という仕事柄、仕方がない部分もあると私は考え、夫も信頼を崩さないように節度ある付き合いを心がけているだろうと思っていました。
それでも多少の不安を残しつつ、「一生、君しか見ないから」という夫のプロポーズの言葉を時折、思いだしてはあまり夫を詮索せずに、私自身もピアノ発表会を開催したり、コンクールに出場する生徒の指導など忙しい日々を送っていました。
結婚後10年後ぐらいから浮気が……
ところが、結婚して10年目辺りから夫の携帯電話を盗み見しなくても、あるいは夫のカバンや持ち物を調べなくても、浮氣のサインがあちこちに出没するようになりました。
- 夫のシャツの肩についた口紅
- 部屋の中でも携帯電話を持ち歩く
- 携帯電話が鳴っても出ないときが結構、ある
- 車内に私のではない髪の毛が落ちている
- 車内に口紅のついた紙コップがゴミ袋に
あるとき、携帯電話をもって一時間以上もトイレに閉じこもったこともあります。
「お腹が痛いの?」
「いや、別に」
こういうとき、トイレの中に携帯電話を持ち込んで、女性とメールのやり取りなどをしていた場合、
「うん、お腹が痛くて」
とでも言ってごまかすのが普通でしょうが、夫のそういう部分は非常に隙だらけでした。
その日の夜、日ごろから集めておいた証拠をメモしたノートを夫に見せました。
浮氣をした大体の人が最初は浮気を否定するように、私の夫も暑くもないのに汗だくになりながら「それはお前のカン違いだ」とか「俺は嘘を言っていない」、「シャツに口紅をつけたクラブのママとは男女の一線は超えていない」などなど、たくさんのあることないことが夫の口から飛び出してきました。
夫の携帯電話を奪い取って、内容を見る
私は夫の真実の欠片もない言い訳に耳を傾けたふりをしながら、夫の携帯電話を目で探していました。主人の横にある椅子の背にかけたジャケットのポケットにありました。
話を終え、やれやれと汗が噴き出た額を手の甲で拭う夫に、
「話してくれてありがとう。お茶、入れるわね」
「うん、ありがとう」
私は立ち上がりました。
キッチンのほうには行かず、夫の横の椅子に走り寄り、ジャケットのポケットから携帯電話をとりだすなんて時間のかかることはせず、ジャケットを素早く手に取って急いでトイレに入り、カギをかけました。
夫は何が起こったのかわからず、しばらく呆然としていたようです。私が閉じこもったトイレにやってくるまで少し時間が経っていました。
「おい、コラ、俺の携帯をどうするつもりなんだ?」
私は夫の携帯電話の中、全て見ることができ、浮気の全容を知ることができました。
私から夫に婚外恋愛を提案する
「ねえ、婚外恋愛しない?」
私のほうから婚外恋愛の提案をしました。
夫の携帯電話を調べたところ、浮気相手は一人ではなく、数人はいました。私も収入があるのでこんな浮気男とはさっさと別れたほうが自由な時間も増えていいと思ったのですが、今の贅沢三昧の生活は私の収入だけでは無理、夫の収入がどーんと上乗せされて実現できるのです。
たとえ多額の慰謝料をもらって離婚したとしても慰謝料は一時金にすぎません。
夫の医師としての手腕以上に、人当たりの良さで夫のクリニックは大繁盛していました。
夫は婚外恋愛という言葉を知りませんでした。
「結婚が長く続くと、どうしてもマンネリ化は避けられないけど、配偶者以外の人間と自由恋愛することで、互いの配偶者との関係がリフレッシュされ、いい意味で婚姻生活の継続が可能になるというものなの」
「なるほど、わからなくもないけど、それって、君も浮気、いや婚外恋愛というやつをやるということ?」
「そうよ。あなただけというのはすごい不公平だと思うわ。ただ、このことで相手や相手の家庭に迷惑だけはかけないという基本のルールは絶対に守るから、あなたもそうして欲しい」
「うーん、お前もか」
自分の浮気行動を棚に上げて、妻の婚外恋愛宣言を素直に受け入れられないずるい夫。
「私が婚外恋愛のためにたとえば、どんどんおしゃれになっていって、あなたの恋人たちよりもいい女になったら?」
「……わかったよ。俺たちには子供がいない。子供がいれば、子供の成長に合わせてこっちも変わることができるかもしれないが、俺たちは何の変化もなしにこれからもやり続けなければいけない。婚外恋愛が今までマンネリ化を破り、俺たちの新たな発見につながれば、お互いを見直すこともできる」
「そうね、婚外恋愛するには相手に気に入ってもらわなくてはいけないから、まずは魅力的な人間にならなくてはいけないわ。その魅力的になった夫や妻に魅せられ、婚外恋愛も終わりがくるでしょうし」
「わかった。今まで、君を裏切るようなことをして申し訳なかった。もっと、色々、責められても仕方ないのだが、君の発想の切り替えで何とか、難を逃れたよ」
「私、婚外恋愛の刺激を受けて、あなたが悔しがるほどのいい女になってやる。今までの浮気を後悔させるような、そして婚外恋愛をする私を完全に取り戻したくなるような……」
「俺だって、お前に他所に行かないでくれといわれるぐらいの良い男に!」
婚外恋愛について色々なことが言われていますが、夫婦が納得していれば、他人がとやかく言うこともないと私は考えています。
私はネットの出会い系pcmaxで今の恋人を見つけました。