高校の時の同級生で、浮気ばっかりしていた元彼に捧げた二十代。
三十才が近づいてきて、こんな浮気ばっかりしている男と付き合っていても仕方ないと思って別れてから、すぐに誠実な今の旦那と出会って結婚しました。
浮気もギャンブルもやらない真面目な旦那と安定した生活を送り、3人の子供を授かって幸せな毎日を送っていたある日、突然届いた、高校の同窓会の招待状。
毎日幸せな生活を送っているはずなのに、その招待状を見た瞬間、私は思わず元彼を思い出してムラムラしまって…
不満のない結婚生活なのに、ムラムラと…
同窓会の招待状が届いた時、ドキッとしてしまいました。
超がつくほどの肉食系で、浮気してばかりだった元彼のことが頭をよぎって離れなくなったのです。
今の旦那は誠実で、子煩悩で、子供3人を育てていくのに十分な収入があって、何一つ不満はありません。
…すいません、嘘です。
誠実な旦那はあまりセックスが好きではなく、たまにしかしてくれない上に、優しいというか、物足りないというか…
今の旦那と結婚前に飲んでいる時、セックス狂いで浮気ばっかりしていた元彼のことが話題になり、『猿』だの『けだもの』だのと散々に馬鹿にしたことがあるので、旦那に性的な不満が言いにくい関係になってしまったのです。
旦那の許可を得て、いざ、同窓会へ!
元彼いるかなぁ~と会場を見渡していると、一番騒がしいグループに元彼はいました。
友達とおしゃべりしながらチラチラと元彼の方を見ていると、それに気づいたのか元彼がこっちに歩いてきて、
「よぉ、久しぶり! フェイスブック見てるよ。子供3人いるんだってな!お前が子持ちの人妻ってか!どエロっ!」
「うるさい!あっち行って、バカ!」
自分の中ではこっぴどく振ったつもりだったのに、あっけらかんと昔のように絡んでくる元彼。
気まずさも、避けられてる感じもないってことは、やっぱりひょっとするかも…
砂漠でオアシスを見つけた気分…というのは言い過ぎだけど、海水浴場で海の家を見つけた気分くらいにはなってしまいました。
手っ取り早く、簡単に補充できるかも…!
私は友人たちとしゃべりながらも、ポケットに突っ込んであるスマホのバイブが鳴るたびに、元彼から連絡が入ったんじゃないかとドキドキしてしまいました。
襲われた!?襲わせた!?
私も元彼も二次会まで参加していましたが、二次会の終わり頃に、ついに元彼から連絡が入りました。
『このあと、二人で飲み直さない?変なことしねぇし』
『させねぇーし!どこ行けばいい?』
『最後に行ったバー』
『そんなのあった?どこ?居酒屋じゃなくて?』
『別れた場所のこと!』
『それラブホ(怒)!』
『この時間から飲んだら、どうせどっか泊まらねぇとだろ~』
こういうロクでもない男だから、別れて良かった!
…そう思うのも本当のはずなのに、元彼が昔の彼のまま変わっていないことに安堵している自分もいました。
結局、誘われるがままラブホにむかい、一足早く着いていた元彼にドアを開けてもらって部屋に入ると、元彼は昔のように唇に吸い付いてきました。
「ちょ!」
唇を押し付けられた口は、キスで塞がれてはっきりとしゃべれなくなり、同時に胸を強く揉みしだかれて、抵抗する気力を削がれました。
「やめて!もう!ちょっとやめてって!」
元彼は私の胸元を乱暴にはだけさせ、乳首を美味しそうに舐め、わざとらしく音を立てて吸い付いてきました。
乳首を舐められるなんて、何年ぶりのことでしょう!
強引に組み伏せられ、両手を掴まれて拘束された時に、期待と興奮でゾクゾクとしてきました。
玩具好きの元彼が、玩具を私の目の前に突きつけてニヤニヤと笑ってきた時、私は最後までを望んでしまったのです。
恥ずかしい!全部見抜かれていた!?
全部が終わって、久しぶりに心底気持いい疲労感に包まれて、ぐったりとベッドに突っ伏していると、
「お前さぁ、俺とやる気満々だっただろ?」
「…はぁ!?なわけないじゃん!あんた、人妻襲うとか頭おかしくない!?」
「襲ったとかウケるわ。パンツぐちゃぐちゃだったくせに」
「訴えてやる!」
「そのパンツで?ウケる~」
おちょくってくる元彼をドンと小突くと、こいつとしゃべるのは無駄だと思い出した私は、全部がどうでも良くなって再びベッドに倒れ込みました。
旦那とは正反対の、誠実さの欠片もない元彼は、それでも無駄話をやめません。
「てかさぁ、わかったろ?俺が浮気ばっかりしてた理由。前も言ったけど、ボランティアみたいなもんだっつーの!目の前に、さっきのお前みたいな『やりたくてしょうがない!』って顔の女が現れたら、救ってやるのが親切な男ってもんだろ?俺は優しい男ってこと!」
「…あぁ、なんか、昔そういうこと言ってたね。…あんたみたいなタイプには、欲求不満な女ってわかっちゃうの?」
「バーカ、たいていの男はわかるんだよ。手を貸してやるか、無視するかの違いだって」
「…私の旦那もわかってるのかな?」
「さぁな?バカじゃなきゃわかってるんじゃねぇか?わかっててわざと無視しても、女の方からはあんま文句言ってこねぇからな~」
「…まぁ、女からは言いにくいよね、恥ずかしいことだから」
「あはははははははははは!」
突然、元彼が笑い出しました。
なになになに!?
驚いて元彼を見ると、
「お前、『浮気する奴なんて最低、生きる価値なしの猿』って言ってたよな?それなのに、ノリノリで浮気しやがった!しかも、子持ち人妻で!浮気つーか、不倫だし!くっそ最低だな!こんな母ちゃんだったら、俺死ぬわ!」
「うるさい!あんたの方が最低でしょ!あんただって同罪!」
「俺が同罪なわけねぇじゃん!俺、独身!お前、既婚者!母ちゃん!」
「旦那が訴えたら、あんた慰謝料払わなきゃだからね!」
「うっせぇ!お前もだろうが!」
…まぁ、その通り。
私たちは、お互いのために今日のことは秘密にしようと話して、朝、ホテルを別々に出ました。
まとめ
人生初めての不倫をしてから、今日で半月。
あれから、元彼からは何の連絡も来ていません。
私はと言うと、今までの生活に戻りながら、フェイスブックで彼にメッセージを送ろうかと悶々とする日々。
いつか…いえ、多分近いうちに、あの素晴らしい快感の記憶に負けて彼にメッセージを送ってしまう気がします。
あんなに泣かされて別れた元彼ですが、誠実な旦那との結婚生活を守りながら、どうにもならない性欲だけを満たすにはぴったりの相手です。
十年前に二度と顔を見たくないと思って別れた元彼と、これから長い付き合いになるような気がしてなりません。