友人の結婚式で私はある男性に一目惚れしてしまいました。
うっとりするぐらい綺麗な顔立ちのその人は私の学生時代の先輩のご主人でした。
私は32歳。まだ独身です。
友達がどんどん結婚していく中で焦りがないと言ったら嘘になります。
でも妥協はしたくない、そんな目で男性を見ているとなかなか良縁に恵まれないものです。
私と高校が一緒だった新婦のT子は部活の先輩だったS美さんとずっとつきあいがあったみたいでした。
以前S美さんの結婚式に出席したT子が
「先輩のダンナさんイケメンでカッコいいんだよ」
って私に話してくれたのを思い出しました。
確かにステキな人で、席が隣になった私は挨拶しながらドギマギしてしまったくらいです。
S美さんはとても明るくてよくおしゃべりする人ですが彼の方は物静かで落ち着いた感じでした。
隣にいて会話がなく黙って食事していると周りの音が何も聞こえなくなり彼と二人だけの世界にいるような気がしていました。
それだけ私は彼の方に集中していたのだと思います。
披露宴の余興をうわの空で聞きながら私はそっと彼ばかり見ていました。
こんな人と結婚したS美さんが羨ましい、性格がまったく違う夫婦みたいだけど日頃はどんな生活をしているのだろう、そんな事を考えながら。
そして2次会の席で私はやっと彼とまともに会話する事ができたのです。
もちろん奥さんのS美さんがいたから当たり障りのない会話だけでしたが。
彼は不動産関係の会社に勤めているとの事でした。私はなんとか彼とまた会えるきっかけを作りたいと思い彼から名詞を貰いました。
今は親元にいますがちょうど一人暮らしを考えていたので彼に相談してみようと思ったのです。そうすれば自然な形でまた彼に逢えると思ったから。
名詞を手渡しながら彼が
「事務所に来てくれたらもっと具体的に相談に乗れるから」
と言ってくれたので私はその数日後に早速電話して彼の事務所を訪ねました。
彼は押し付けがましい営業はしない人だったので私はとても安心していろいろ相談に乗ってもらう事ができ、何度か訪ねるうちにだんだん個人的な話もするようになっていきました。
お勧めのマンションを彼と一緒に見学した時に車の中で彼がこんな事を言ってくれたんです。
「本当は僕は営業はしてないんだけどS美の学校の後輩だから特別だよ。」
と。そして
「気にいったところが見つかるまで僕がお世話するから。」
とも言ってくれ私はその間はずっと彼と二人でいられる事に嬉しくて胸が震えました。
でもその反面奥さんの事を思ってるからなんだと少しガッカリもしましたが・・。
「彼氏はいないの?」と唐突に彼が聞いてきたので私は正直に数ヶ月前に恋人と別れた事となかなか理想の人との出逢いがない事を彼に話しました。
すると彼が
「理想の男性ってどんな人なの?」
と笑いながら聞くので私は
「こんなステキなご主人がいてS美さんが羨ましいです」
と口走ってしまったのです。
その時は軽く
「そんな事ないよ」
と否定しながらも嬉しそうに笑っていた彼でしたがもしかしたら私の気持ちを悟ったのかもしれないって思いました。
マンションの部屋に二人で入ると少し緊張してドキドキしてしまいました。
なんだか彼との新婚生活を想像してしまいそうで・・・。
私はきっとこの人に恋をしてしまったのだとその時切なくなりました。
と同時に私は彼が欲しくてたまらなくなったのです。
彼の気持ちを私に向けたい、そう思った瞬間女って恐いと自分でも思いました。
私は自分の中の「女」をさりげなく彼にアピールしてせめて「気になる女性」ぐらいになりたいと会話や動作のひとつひとつにとても気を使いました。
彼の事を聞きだして偶然を装って彼と共通の話題を見つけたり彼が好きなものを私も好きなふりをしたり・・。
そうして何度か彼と逢って数件のマンションを見学しているうちに私は彼がだんだん私に惹きよせられているのを感じてきたのです。
彼の表情や言葉のはしはしに私を女として意識し始めている雰囲気を感じていました。
会話が途切れた時の沈黙は決して嫌な空気ではなく、これから起こる何かに私は胸がざわついてドキドキしていました。
一人暮らしを始めるマンションが決まった時私は彼をデートに誘いました。
「迷惑じゃなければ家具を見立ててほしい」
そう言って。
それからお礼に食事をご馳走したいとも言いました。
あの日から約半月、私たちはこの部屋の彼が選んでくれたソファで愛し合いました。
私にとっては夢のようなひとときでした。
家具選びのデートの帰りに私は
「落ち着いたら電話しますから食事に招待させてください。」
と家に誘ったのです。初めてうちに来てもらうのは絶対に彼だって決めていたから。
もし彼が来てくれなかったら諦めよう、そう思っていたけど私の賭けは勝ちでした。
彼は少し照れたような顔で花束を持って玄関に立っていました。
一人暮らしの女性の部屋に誘われて来てしまった事を後悔しているのかもしれないとも思いました。
そんな彼の気持ちを察して私は大げさなくらいに喜んで彼を迎え入れたのです。
その日はなんだかとても開放感があって二人とも今までとは違う雰囲気で会話が盛り上がりました。
そして食事も済んでソファに腰掛けた時またあの沈黙が続いたのです。
目と目が合って、でも何も言えないままどちらからともなく抱き合っていました。
恋焦がれた彼の唇・・優しいキス・・このまま息が止まってしまってもいいとさえ思いました。
それから彼は思ったよりも激しく私を求めてきました。
そのままソファに寝かされて首筋から胸元に彼の唇が這ってきた時にはもう私は感極まってしまい声を荒げていました。
彼が私の服を脱がせ始めた時
「待って。ベッドで・・」
と言うと
「ダメ。もう・・待てない。」
そう言って私を裸にしてソファに座らせ彼がひざまづいて私の大事なところに顔を埋めてくるのです。
彼の熱い舌が茂みを這い、私のそこに吸い付いた瞬間私は彼の髪を掻き毟っていました。
私が声を荒げるほど彼は感じるみたいで私たちはそのままソファで幾度となく果てました。
終わった後、恋しい人のそこを口に含み舌で綺麗にしてあげるのも私には喜びでした。
それから私たちは定期的にこの部屋で愛し合っています。
彼が奥さんと別れて私と結婚してくれたらどんなに幸せだろう、そんな事を思わないと言えば嘘になります。
でもそれを口にしたら彼は離れてしまうでしょう。
このマンションは彼との逢瀬のための愛の巣・・
それでもいい・・私は少しの時間でも彼と愛し合えるのなら一生このままでも構わないと思っています。