セフレ・・少し前までは軽蔑していたこの言葉。
でも今私は定期的にそういう関係を持っている人がいるんです。
私も相手も既婚者同士でしかも町内も隣というすごく危険な関係です。
彼と知り合ったのはインターネットの出会い系サイトでした。
実は私は彼と知り合う前に他のサイトで出会った人と1年ぐらい不倫していたのですが遠くて続かなかったんです。
その人の事はとても好きだったしいつも住まいから離れた町で逢っていたので人目も気にせず堂々とデートしていました。
「これはセフレっていう関係じゃない。」私はそう思っていたけど今考えれば結局はそれに近い関係だったのかもしれません。
逢ってホテルに行くだけで別れるなんて虚しすぎる・・だから不倫するのでもちゃんとつきあいたいなんて贅沢な事をその頃は考えていたんです。
でも私のヘソクリから捻出できるデート代はそれほど余裕はなかったので頻繁に逢いに行くことができずその人に逢うのも2、3ヶ月に一度がやっとでした。
私も向うも30そこそこで経済的にも厳しくて結局あっけなく終わってしまったんです。
最近知り合った彼はプロフに私と同じ県内と書いてあったのでメールを出したのですがまさかこんなに近くの人だったなんて・・会話してみてお互いにビックリです。
彼も私とそう変わらない30代前半。既婚でお子さんもいます。
でも彼、すごく慎重派みたいで初めは家庭の話は一切しませんでした。少しづつわかってきたのは逢うようになってからです。
もちろんお互いの性格や趣味や差しさわりのない話はしたけど家庭の事や仕事の事は彼も言わないので私も聞きませんでした。
もしかしたらどこかで顔を合わせた事のある人かもしれない・・そんな不安が私にもあったから彼の気持ちも理解できました。
元々あまり個人的な話をしない性格なのかもしれませんが、そんなところも私にとってはなんとなく魅力的に思えたのです。
ある時私がメールに「既婚だからすごく贅沢な事だってわかってるけどそういう関係になるのならちゃんと相手を好きになって恋をして心も体も結ばれたい」と書いたら彼がこんなふうに返信してきました。
「既婚者同士なんだからあまり盛り上がりすぎるのはどうかと思う。もちろん好きじゃなきゃエッチしないけど安心できる相手が理想」と。
そして「デートするなら人目が気になるからふたりっきりでいられる場所、そうなるとやっぱりラブホで・・って事になっちゃうんだろうなぁ」とも書いてきたのです。
一瞬「それじゃまるっきりただのセフレじゃない」って私は思いました。
でもよく考えてみると彼の言う事も当然です。実際彼と逢う事を想像すると一緒に町を歩くのも食事をしに行くのも安心できる場所が思い浮かばないのです。
過去のつきあい方が私を常識はずれにしていたのでしょう。
不倫の関係なんだからこそこそしなければならなくて当たり前なのに・・。
「割り切ったつきあい」「セフレ」そういう言葉に嫌悪感を抱いていた私は彼の言葉をすんなり受け入れる事ができずにいましたがそれでも彼とのメールのやり取りはとても楽しく、心地良いものでした。
慎重派の彼はなかなか逢う事を切り出しませんでした。
そして私も・・こちらから「逢いたい」と言う勇気がなくて私たちはしばらくそのままメールを交わすだけの関係を続けていました。
彼は言葉にはしませんでしたが「約束するなら確実に逢える人」「逢うのならエッチするという前提で(もちろんお互いがイヤでなければ)」「深追いしない人」そう確信できる相手なのかどうか探っていたのだと思います。彼とのメールでなんとなくそれがわかってきたのです。
私は逆に彼のそのクールさに惹かれ始めていました。
クールと言っても冷静という感じであって決して冷たい印象は受けませんでした。むしろ一緒にいる時はとても情熱的に愛してくれるかもしれない、そんな印象さえ感じられたのです。
そして私たちが逢う事を決めた時・・待ち合わせ場所はラブホの駐車場でした。
もしかしたらこのままただセックスして別れてそれっきり・・そんな事だってあるかもしれません。それでもいい、その時私はもうあまり深く考えないようにしようって決めていたのです。
彼の希望で写メ交換はしないで逢いました。
車の車種と色だけ教えあって・・彼の車がわかったら助手席に私が乗ってそこでどうするか決める事になっていました。
今思えばもの凄く無謀な賭けでした。
だってもしも嫌いなタイプだったとしても言い出せなかったかもしれないのですから。もちろん彼の方から断られる可能性もあったけどそうなったら私はきっとショックで塞ぎこんでしまったでしょう。
ホテルの駐車場に車を止めて彼の車を探している間中私の心臓は破裂しそうなくらいドキドキしていました。
そして彼を見つけて車に近寄っていく時・・急に恥ずかしさと罪悪感が襲ってきたのです。「私いったい何をしているんだろう」そんな言葉が頭をよぎりました。
でも彼の方から車を降りて私に近寄って来てくれた瞬間その言葉も優しそうな彼の笑顔にすっかりかき消されていたのです。
彼は想像していたよりもステキな人でした。
もしかしたらこの一度で終わってしまうかもしれないのに私はドキドキするのと同時に心が弾んでいました。
ホテルに入ると緊張している私をほぐそうとしたのか彼が飲み物を出してくれソファに腰掛けて話し始めました。私とそう変わらない歳なのに彼はとても落ち着いていて本当にこれからこの人とするのだろうかと思っていた時でした。彼の手が肩に伸びてきてそのうちに私の髪を撫で始めたのです。
それからはもう無我夢中でした。彼の熱いキスを受けながら体がどんどん火照ってくるのを感じていました。
そのままソファで服を脱がされ、私は彼にしがみついていきました。
メールで感じていた彼の冷静さとは逆にとても情熱的に彼は私を求めてきたのです。
まだシャワーも浴びていないのに私たちはそのままそこで一度結ばれて絶頂に達しました。
でも彼はその時は我慢していたらしく私がイって少しすると今度はベッドで愛し合いました。
彼とのセックスはとても相性が良くて初めて逢ったばかりなのに何も言わなくても私が望む事を彼はしてくれました。ステキな人だからきっと経験も豊富だったのかもしれません。秘密主義の彼はそういう事もあまり言わなかったのですがなんとなくわかりました。
彼との待ち合わせはいつもラブホの駐車場。
電話は教え合わない、そしてどこかでバッタリ会っても知らん顔する事、そういう約束で彼と続けています。「セフレ」とは言えふたりっきりでいる時私たちは確かに恋人同士なんだって今では思っています。